ネットワーク接続テスト

Android 接続テストスイート(ACTS)によるテストは、Android のフレームワーク API とチップセット証明書のテストの間のギャップを埋めるものです。これらのテストでは、Android フレームワークで使用される Bluetooth や Wi-Fi、セル無線通信に関するさまざまな機能を検証します。

ACTS テストの実行者

ACTS テストは、Android スタックの接続部分(Bluetooth、Wi-Fi、セル無線通信)に関わる開発者と事業者が実行する必要があります。こうしたテストは、新たな機能を追加してチップセットまたはドライバの変更を統合した場合に、変更後のシステムが機能的で安定しているかどうか、あるいは基本的な性能基準を満たしているかどうかを確認するために役立ちます。

このテストはオプションであるため、Android デバイスの認証には必須ではありません。

ACTS を実行する方法

ACTS テストでは、特権が付与された Android API を使用して、より深いレベルでテストのロックを解除します。そのため、ACTS によるテスト対象は、エンジニアリング ビルドとユーザーデバッグ ビルドのみになります。

ACTS テストのほとんどは既製のハードウェアのみで行えるように設計されていますが、テストの種類によっては適切な機器が必要になります。大半のテストでは、2 台の Android デバイス、または 1 台のデバイスと 1 つの Wi-Fi アクセス ポイントだけを使用します。特定の設定要件を確認するには、主なテスト領域(Bluetooth、Wi-Fi、セル無線通信)に関する固有のドキュメントをご覧ください。

テストの種類

Android 用スクリプト レイヤ

/external/sl4aAndroid 用スクリプト レイヤは、同じ名前を持つオープンソース プロジェクトからのフォークです。このツールは、Android の Java API を公開するシン RPC サーバーを提供します。これによりテストをデバイス外に配置でき、デバイスと機器の協調的な自動化によってより多様かつ動的なテストが可能になります。過去 18 か月の間、Google はこのプロジェクトをトリミング、更新、拡張、使用して、ワイヤレス接続のテストに Android の Java API をリモートで実行してきました。

ネイティブ用スクリプト レイヤ

/packages/apps/Test/connectivityネイティブ用スクリプト レイヤは、Android 用スクリプト レイヤが Java API を公開するのと同様の手法で Android のネイティブ API を公開するための、新たな内部開発 RPC サーバーです。このツールは現在 Brillo のテストに使用されており、重要性が増しているネイティブ ワイヤレス API のテストのニーズを満たすためにこのプロジェクトが急速に拡大することが期待されています。

Android Comms テストスイート

/tools/test/connectivityAndroid Comms テストスイートは、Python ベースの軽量な自動化ツールセットで、現在と今後の Android デバイスの自動テストを実行するために使用されます。シンプルな実行インターフェース、アッテネータや Android デバイスなどの機器にアクセスするためのプラグイン可能なライブラリのセットに加え、テスト開発をより簡便化する各種のユーティリティ機能を備えており、新しいコードパス、基本的なサニティテスト、拡張回帰テストスイートなどを実行する、ワイヤレス スタックの開発者または事業者にとって理想的なデスクトップ ツールです。

また、このテストスイートに含まれるテストの多くは、以下のように、Wi-Fi、モバイル接続、または Bluetooth 接続を備えた 1~2 台の Android デバイスを使用して実行できます。

  • AP IOT、Enterprise Connection、WifiScanner、Autojoin、RTT の Wi-Fi テスト。
  • BLE、GATT、SPP、ボンディングの Bluetooth テスト。
  • CS と IMS の呼び出し、データ接続、メッセージング、ネットワーク スイッチング、アクセス ポイントのモバイル接続テスト。

これらのツールは、基本的なテストに対するハードルを下げ、改善されたシステムテストを開発コミュニティ全体が協力して行える統合ツールとして機能するため、開発者、事業者、テスターに一様に役立つと Google は考えています。

不合格となったテストとテストへの貢献

ACTS テストは認証スイートではないため、厳密に言えば、Android デバイスをリリースするうえでこのテストに合格する必要はありませんが、テストに不合格だった場合はユーザーの利便性が損なわれていることを示している可能性があります。テストに合格しなかった場合でも、心配はいりません。一部のテストの要件は意図的に非常に高く設定してあります。これは、開発者が高性能なデバイスをリリースできるようにするためです。

ACTS は比較的新しい取り組みであるため、開発コミュニティへの参加が不可欠です。テストの追加や問題の報告、ご質問などに関しては、接続性テストのテンプレートを使用して Android Issue Tracker でバグの報告を作成し、スレッドを開始してください。