MATLAB ファイルをダウンロードして実行した後、以下のフローチャートを使って、前の手順で記録した波形ファイルを分析します。
図 1.効果 1 と効果 2 の波形分析フローチャート
図 2.効果 3 の波形分析フローチャート
失敗ケース
分析の前や分析中に、失敗ケース(F01~F05)があるかどうかを確認します。
- F01 および F02 と表示された効果は、MATLAB コードでは処理できません。
- F03-1 と表示された効果は、MATLAB コードの処理でエラーが出ていない場合であっても、パフォーマンス マップへの追加の対象にはなりません。
- F03-2、F04、F05 と表示された効果は、処理が失敗してもパフォーマンス マップに追加できます。
Vibrator.hasAmplitudeControl()
がfalse
を返した場合、DUT は F04 または F05 と表示されます。- 測定中に [効果 3] ボタンをクリックした後に、明確に認識できる遅延(500 ミリ秒以上)が発生すると、DUT は F04 になります。
失敗コード | 失敗の説明 | 該当する効果 | 失敗の理由 | 失敗の修正方法 |
---|---|---|---|---|
F01 | 出力信号が記録されていません。 | 効果 1 | 触覚フィードバック定数が実装されていません。 | チェックリストのステップ 2 に記載されているとおり、空の定数を実装します。 |
F02 | MATLAB コードのエラー。MATLAB のエラーの例を以下に示します: インデックスが行列のサイズを超えています。 |
効果 1、効果 2 | 触覚効果の振幅が弱すぎます。 | 触覚効果の振幅を大きくします。 |
F03-1、F03-2 | [F03-1] MATLAB のエラーはありませんが、MATLAB コードから入力された PRR が 0 より小さくなっています。 [F03-2] MATLAB のエラーはありませんが、MATLAB コードから入力された振幅が 0.1g より小さくなっています。 |
効果 1、効果 2 | 触覚効果の振幅が弱すぎます。 | 触覚効果の振幅を大きくします。 |
F04 | 信号が短すぎます(1,000 ミリ秒ではなく約 500 ミリ秒)。 | 効果 3 | デバイスは、振幅を正しくスケーリングして生成できていません。最初の 500 ミリ秒フェーズの振幅は、50% の振幅が必要なのにもかかわらず 0% で生成されています。 | 振幅のスケーリング機能を有効にします。 |
F05 | 2 つの最大振幅値にほとんど違いがありません。 | 効果 3 | デバイスは、振幅を正しくスケーリングして生成できていません。 | 振幅のスケーリング機能を有効にします。 |
図 3.F03-1(左)と F03-2(右)の MATLAB の信号プロットの例
図 4.F04(左)と F05(右)の MATLAB の信号プロットの例
分析からデータを取得する
各効果の MATLAB コードを実行すると、MATLAB ソフトウェアのコマンド ウィンドウで結果を確認できます。
図 5.コマンド ウィンドウに表示された MATLAB 結果の例。効果 1(1 つ目)と効果 3(2 つ目)
効果 1 と効果 2(短いインパルス)
- ピーク時間(ミリ秒)
- ピーク振幅(g)
- シャープネスの指標値(FOMS = PRR ÷ ピーク時間)を計算するための PRR
効果 3(長いバイブレーション)
- 2 つのフェーズの最大振幅(g)
パフォーマンス マップを使って結果を比較すると、Android エコシステムの代表的なデバイスから取得した同一のデータセットが含まれるため、パフォーマンス マップへ適宜データを入力できます。これにより、エコシステム全体を理解し、データをパフォーマンス マップのデータと照らし合わせて比較できます。
以下の表を使って、DUT が Android エコシステムの他のスマートフォンやタブレットと比較してどの程度優れているかを確認します。この考えに基づいた具体的な質問例は次のようになります。「似たような特性(価格帯など)を持つ他の Android スマートフォンと比較して、自分のスマートフォンのパフォーマンスは他のスマートフォンより優れているか、劣っているか?」
[入力] 分析する効果 |
[出力] ピーク / 最大振幅(G) |
[出力] ピーク時間(ミリ秒) | [出力] パルス対リング比(PRR) |
---|---|---|---|
効果 1: 事前に定義済みの触覚定数(VibrationEffect.EFFECT_CLICK ) |
[1] データ 1-1 | [2] データ 1-2 | [3] データ 1-3 |
効果 2: 短いカスタム触覚効果(時間 = 20 ミリ秒、振幅 = 100%) | [4] データ 2-1 | [5] データ 2-2 | [6] データ 2-3 |
効果 3-1: 長いカスタム触覚効果、最初の 500 ミリ秒は振幅 50% のアクセラレーション フェーズ 1 | [7] データ 3-1 | なし | なし |
効果 3-2: 長いカスタム触覚効果、次の 500 ミリ秒は振幅 100% のアクセラレーション フェーズ 2 | [8] データ 3-2 | なし | なし |
効果 1 と効果 2 のパルス対リング比とピーク振幅
効果 1 と効果 2 で測定される 2 つの主要パラメータは、パルス対リング比(PRR)とピーク振幅です。これらのパラメータは、加速度計の設定による加速度測定に基づいています。
PRR は、リング時振幅に対するメインパルスの比率を使って計算されます。図 6 に計算式を示します。時間は、メインパルスの経過時間です。
図 6.加速度信号のシミュレーション
以下の要素が図 6 に示されています。
- メインパルス: 振幅が、ピーク振幅の 10% に減少するまでの時間内の信号によって定義されます。
リング時間: 振幅が、ピーク振幅の 10% から 1% 未満に減少するまでの信号によって定義されます。
PRR と時間を計算する: 各加速期間のピークとなる点を使用して曲線当てはめを行います。曲線当てはめは、ノイズの影響を最小限に抑えることでテストの再現性を高めるため、この目的に最適な方法です。
効果 3 の最大振幅
図 7. アクチュエータのオーバーシュート
以下の要素が図 7 に示されています。
- 長いバイブレーション
- 共振周波数で正弦波を入力したときのリニア共振アクチュエータの出力。
- 最大振幅
- デバイスのバイブレーションが安定状態にあるときの長いバイブレーションの最大振幅。
- オーバーシュート
- オーバーシュートは、アクチュエータが共振から離れるときに発生します。図は、正弦波を入力している状態でバイブレータが共振から離れたときに起こる様子を示しています。これは、極端なオーバーシュートの例です。
- LRA が共振周波数で駆動している場合は、オーバーシュートは最小限に抑えられるか、発生しません。LRA の一般的な共振周波数は 50~250 Hz です。