Android のセキュリティに関する公開情報には、Android デバイスに影響を与えるセキュリティの脆弱性の詳細を掲載しています。セキュリティ パッチレベル 2022-05-05 以降では、下記のすべての問題に対処しています。デバイスのセキュリティ パッチレベルを確認する方法については、Android のバージョンを確認して更新するをご覧ください。
Android パートナーには、情報公開の 1 か月前までにすべての問題が通知されます。Android オープンソース プロジェクト(AOSP)のリポジトリに、各問題に対するソースコード パッチをリリースしています。また、この公開情報では、これらのパッチへのリンクに加え、AOSP 以外のパッチへのリンクも掲載しています。
以下の問題のうち最も重大度の高いものは、フレームワーク コンポーネントに存在する重大度「高」のセキュリティ脆弱性です。これにより、ユーザー実行権限を必要として、ローカルで権限を昇格されるおそれがあります。重大度の評価は、攻撃対象のデバイスでその脆弱性が悪用された場合の影響に基づいています。プラットフォームやサービスでのリスク軽減策が、開発目的または不正な回避策により無効となっていると仮定しています。
Android セキュリティ プラットフォームの保護や Google Play プロテクトについて詳しくは、Android と Google サービスでのリスク軽減策をご覧ください。こうした保護により、Android プラットフォームのセキュリティが改善されます。
Android と Google サービスでのリスク軽減策
ここでは、Android セキュリティ プラットフォームや Google Play プロテクトのようなサービスによる保護でリスクを軽減する手段について概説します。こうした機能は、Android でセキュリティの脆弱性が悪用される可能性を軽減するものです。
- Android プラットフォームの最新版での機能強化により、Android 上の多くの問題について悪用が困難になります。Google では、すべてのユーザーに対し、できる限り最新バージョンの Android に更新することをおすすめしています。
- Android セキュリティ チームは、Google Play プロテクトによって脆弱性の悪用を積極的に監視しており、有害な可能性があるアプリについてユーザーに警告しています。Google Play プロテクトは、Google モバイル サービスを搭載したデバイスではデフォルトで有効になっており、Google Play 以外からアプリをインストールするユーザーにとっては特に重要です。
セキュリティ パッチレベル 2022-05-01 の脆弱性の詳細
以下に、パッチレベル 2022-05-01 に該当するセキュリティ脆弱性の各項目の詳細を示します。脆弱性は、影響を受けるコンポーネントごとに分類しています。下の表に、問題の内容について説明し、CVE ID、関連する参照先、脆弱性のタイプ、重大度、更新対象の AOSP バージョン(該当する場合)を示します。該当する場合は、バグ ID の欄に、その問題に対処した一般公開されている変更(AOSP の変更の一覧など)へのリンクがあります。複数の変更が同じバグに関係する場合は、バグ ID の後に記載されている番号に、追加の参照へのリンクが設定されています。Android 10 以降を搭載したデバイスは、セキュリティ アップデートと Google Play システム アップデートを受信することがあります。
フレームワーク
フレームワークの最も重大な脆弱性により、ユーザー実行権限を必要として、ローカルで権限を昇格されるおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | 更新対象の AOSP バージョン |
---|---|---|---|---|
CVE-2021-39662 | A-197302116 | EoP | 高 | 11、12 |
CVE-2022-20004 | A-179699767 | EoP | 高 | 10、11、12、12L |
CVE-2022-20005 | A-219044664 | EoP | 高 | 10、11、12、12L |
CVE-2022-20007 | A-211481342 | EoP | 高 | 10、11、12、12L |
CVE-2021-39700 | A-201645790 | ID | 中 | 10、11、12 |
システム
システムの最も重大な脆弱性により、追加の実行権限を必要とすることなく、ローカルで権限を昇格されるおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | 更新対象の AOSP バージョン |
---|---|---|---|---|
CVE-2022-20113 | A-205996517 | EoP | 高 | 12、12L |
CVE-2022-20114 | A-211114016 | EoP | 高 | 10、11、12、12L |
CVE-2022-20116 | A-212467440 | EoP | 高 | 12、12L |
CVE-2022-20010 | A-213519176 | ID | 高 | 12、12L |
CVE-2022-20011 | A-214999128 | ID | 高 | 10、11、12、12L |
CVE-2022-20115 | A-210118427 | ID | 高 | 12、12L |
CVE-2021-39670 | A-204087139 | DoS | 高 | 12、12L |
CVE-2022-20112 | A-206987762 | DoS | 高 | 10、11、12、12L |
Google Play システム アップデート
プロジェクト Mainline のコンポーネントには次の問題が含まれています。
コンポーネント | CVE |
---|---|
MediaProvider | CVE-2021-39662 |
セキュリティ パッチレベル 2022-05-05 の脆弱性の詳細
以下に、パッチレベル 2022-05-05 に該当するセキュリティ脆弱性の各項目の詳細を示します。脆弱性は、影響を受けるコンポーネントごとに分類しています。下の表に、問題の内容について説明し、CVE ID、関連する参照先、脆弱性のタイプ、重大度、更新対象の AOSP バージョン(該当する場合)を示します。該当する場合は、バグ ID の欄に、その問題に対処した一般公開されている変更(AOSP の変更の一覧など)へのリンクがあります。複数の変更が同じバグに関係する場合は、バグ ID の後に記載されている番号に、追加の参照へのリンクが設定されています。
カーネル コンポーネント
カーネル コンポーネントの最も重大な脆弱性により、追加の実行権限を必要とすることなく、システム ライブラリでローカルで権限を昇格されるおそれがあります。
CVE | 参照 | タイプ | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|---|
CVE-2022-0847 | A-220741611
アップストリーム カーネル [2] [3] |
EoP | 高 | パイプ |
CVE-2022-20009 | A-213172319
アップストリーム カーネル [2] |
EoP | 高 | Linux |
CVE-2022-20008 | A-216481035
アップストリーム カーネル [2] [3] |
ID | 高 | SD MMC |
CVE-2021-22600 | A-213464034
アップストリーム カーネル |
EoP | 中 | カーネル |
MediaTek コンポーネント
これらの脆弱性は MediaTek コンポーネントに影響を与えます。詳細については MediaTek から直接入手できます。ここに示す問題の重大度の評価は、MediaTek から直接提供されたものです。
CVE | 参照 | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|
CVE-2022-20084 | A-223071148
M-ALPS06498874 * |
高 | 通話 |
CVE-2022-20109 | A-223072269
M-ALPS06399915 * |
高 | ion |
CVE-2022-20110 | A-223071150
M-ALPS06399915 * |
高 | ion |
Qualcomm コンポーネント
Qualcomm コンポーネントに影響する脆弱性は次のとおりです。詳細については、該当する Qualcomm のセキュリティに関する公開情報やセキュリティ アラートをご覧ください。ここに示す問題の重大度は、Qualcomm から直接提供されたものです。
CVE | 参照 | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|
CVE-2022-22057 | A-218337595
QC-CR#3077687 |
高 | ディスプレイ |
CVE-2022-22064 | A-218338071
QC-CR#3042282 QC-CR#3048959 QC-CR#3056532 QC-CR#3049158 [2] |
高 | WLAN |
CVE-2022-22065 | A-218337597
QC-CR#3042293 QC-CR#3064612 |
高 | WLAN |
CVE-2022-22068 | A-218337596
QC-CR#3084983 [2] |
高 | カーネル |
CVE-2022-22072 | A-218339149
QC-CR#3073345 [2] |
高 | WLAN |
Qualcomm クローズドソース コンポーネント
下記の脆弱性は Qualcomm クローズドソース コンポーネントに影響を与えます。詳細については、該当する Qualcomm のセキュリティに関する公開情報やセキュリティ アラートをご覧ください。これらの問題の重大度の評価は、Qualcomm から直接提供されたものです。
CVE | 参照 | 重大度 | コンポーネント |
---|---|---|---|
CVE-2021-35090 | A-204905205* | 重大 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35072 | A-204905110* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35073 | A-204905209* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35076 | A-204905151* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35078 | A-204905326* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35080 | A-204905287* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35086 | A-204905289* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35087 | A-204905111* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35094 | A-204905838* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35096 | A-204905290* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
CVE-2021-35116 | A-209469826* | 高 | クローズドソース コンポーネント |
カーネル LTS
次の表は、セキュリティ パッチレベル コンプライアンスに関する最小カーネル バージョンの要件を示しています。Android リリース バージョンとは、リリース時にデバイスに搭載されていた Android OS のバージョンを指します。カーネル バージョンとは、デバイスに現在搭載されている Linux カーネルのバージョンを指します。
参照 | Android OS リリース バージョン | カーネル バージョン | アップデートの最小バージョン |
---|---|---|---|
A-202441831 | 11 | 5.4 | 5.4.147 |
A-204345773 | 12 | 5.4 | 5.4.147 |
一般的な質問と回答
上記の公開情報に対する一般的な質問とその回答は以下のとおりです。
1. 上記の問題に対処するようにデバイスが更新されているかどうかを確かめるには、どうすればよいですか?
デバイスのセキュリティ パッチレベルを確認するには、Android のバージョンを確認して更新する方法をご覧ください。
- セキュリティ パッチレベル 2022-05-01 以降では、セキュリティ パッチレベル 2022-05-01 に関連するすべての問題に対処しています。
- セキュリティ パッチレベル 2022-05-05 以降では、セキュリティ パッチレベル 2022-05-05 以前のすべてのパッチレベルに関連するすべての問題に対処しています。
デバイス メーカーは、こうしたアップデートを組み込む場合、パッチレベル文字列を以下のとおり設定する必要があります。
- [ro.build.version.security_patch]:[2022-05-01]
- [ro.build.version.security_patch]:[2022-05-05]
Android 10 以降を搭載した一部のデバイスでは、Google Play システム アップデートに、セキュリティ パッチレベル 2022-05-01 と一致する日付文字列が含まれます。セキュリティ アップデートのインストール方法について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
2. この公開情報に 2 つのセキュリティ パッチレベルがあるのはなぜですか?
この公開情報では、2 つのセキュリティ パッチレベルを掲載しています。これは、すべての Android デバイスにまたがる同様の脆弱性をひとまとめにして、Android パートナーが迅速かつ柔軟に修正できるようにするためです。Android パートナーは、この公開情報に掲載されている問題をすべて修正し、最新のセキュリティ パッチレベルを使用することが推奨されています。
- 2022-05-01 のセキュリティ パッチレベルを使用するデバイスには、そのセキュリティ パッチレベルに関連するすべての問題と、それより前のセキュリティに関する公開情報で報告されたすべての問題の修正を含める必要があります。
- 2022-05-05 以降のセキュリティ パッチレベルを使用するデバイスには、今回(およびそれより前)のセキュリティに関する公開情報に掲載された、該当するすべてのパッチを組み込む必要があります。
パートナーは、対処するすべての問題の修正を 1 つのアップデートにまとめて提供することが推奨されています。
3. 「タイプ」列の項目はどういう意味ですか?
脆弱性の詳細の表で「タイプ」列に記載した項目は、セキュリティの脆弱性の分類を示しています。
略語 | 定義 |
---|---|
RCE | リモートコード実行 |
EoP | 権限昇格 |
ID | 情報開示 |
DoS | サービス拒否攻撃 |
なし | 該当する分類なし |
4. 「参照」列の項目はどういう意味ですか?
脆弱性の詳細の表で「参照」列に記載した項目には、その参照番号が属する組織を示す接頭辞が含まれる場合があります。
接頭辞 | 参照 |
---|---|
A- | Android バグ ID |
QC- | Qualcomm の参照番号 |
M- | MediaTek の参照番号 |
N- | NVIDIA の参照番号 |
B- | Broadcom の参照番号 |
U- | UNISOC の参照番号 |
5. 「参照」列の Android バグ ID の横にある「*」はどういう意味ですか?
公開されていない問題には、対応する参照 ID の横に「*」を付けています。この問題のアップデートは、Google デベロッパー サイトから入手できる Pixel デバイス用最新バイナリ ドライバに通常含まれています。
6. セキュリティの脆弱性が、この公開情報とデバイスやパートナーのセキュリティに関する公開情報(Pixel のセキュリティに関する公開情報など)に分けられているのはなぜですか?
Android デバイスの最新のセキュリティ パッチレベルを宣言するためには、このセキュリティに関する公開情報に掲載されているセキュリティの脆弱性への対処が必要となります。それ以外の、デバイスやパートナーのセキュリティに関する公開情報に掲載されているセキュリティの脆弱性への対処は必須ではありません。また、Android デバイスやチップセットのメーカー(Google、Huawei、LGE、Motorola、Nokia、Samsung など)からも、各社製品に固有のセキュリティの脆弱性に関する詳細情報が公開される場合があります。
バージョン
バージョン | 日付 | メモ |
---|---|---|
1.0 | 2022 年 5 月 2 日 | 情報公開 |
1.1 | 2022 年 5 月 3 日 | 公開情報を改訂し AOSP リンクを追加 |